関数を直感的に理解する(ひとつの入力、ひとつの出力という考え方)

関数とは、ある入力を受け取って、ちょうどひとつの出力を返す規則です。自動販売機は関数です。B4 を押せば、いつでも同じお菓子が出てきます。明日もう一度 B4 を押しても、やはり同じお菓子です。この予測のしやすさ、つまりひとつの入力がひとつの出力に対応するということ、それが関数のすべてです。本記事ではこのイメージを土台から組み立て、なぜ関数が数学のほとんどすべての裏側で静かに支えているのかを示していきます。
関数は数学のいたるところに登場しますが、学生がその実感をつかむより先に、抽象的な記法(f(x)、定義域、終域)として導入されてしまうことがよくあります。その結果、関数が実際に何をしているのかを思い描けないまま f(3) を計算できる人が大勢生まれてしまうのです。
それを正しておきましょう。
関数とは機械である
関数を思い描くいちばんすっきりした方法は、入力口がひとつ、出力口がひとつの機械だと考えることです。何かを放り込むと、機械は決まった規則に従ってそれを処理し、ひとつの結果が出てきます。
「2 倍にする」という規則を考えてみましょう。3 を入れれば 6 が出てくる。10 を入れれば 20。-2 を入れれば -4。この機械は、あなたの気分にも時刻にも左右されません。同じ入力なら、いつでも同じ出力です。
その信頼性こそが、関数を関数たらしめる特徴です。「1 から 10 のあいだの数をどれか出せ」という規則は関数ではありません。同じ入力が異なる出力を生みうるからです。しかし「2 倍にする」はいつでも素直にふるまいます。ひとつの入力、ひとつの出力です。
この機械を f(x) = 2x と書きます。f は機械の名前です。x は放り込むものです。2x はそれが適用する規則です。つまり f(3) = 6 とは、「2 倍にする機械を入力 3 に対して動かす」の略記にすぎません。
記法を怖がらずに読む
f(x) という記法は、概念そのもの以上に多くの学生をつまずかせます。掛け算のように見えるからです。でも、そうではありません。f(x) は f かける x という意味ではありません。「入力が x のときの f の出力」という意味です。
かっこを、機械の入力口だと思ってみてください。
- f(2) は、2 に規則を適用するという意味です。
- f(a + 1) は、a + 1 という量に規則を適用するという意味です。
- f(なにか) は、中にあるものが何であれ、それに規則を適用するという意味です。
f(x) = x² + 1 なら、f(4) = 4² + 1 = 17 です。x が現れるところすべてに 4 を放り込むだけです。それがこの技術のすべてです。記法が掛け算に見えなくなり、ラベルのついた入力口に見えるようになれば、混乱のほとんどは消えていきます。
定義域と値域:何が入り、何が出るか
どの機械にも、受け取れるものに限界があります。自動販売機は硬貨を受け取りますが、貝殻は受け取りません。関数も同じです。
定義域は、その関数が受け取ってよい入力すべての集まりです。値域は、実際に作り出せる出力すべての集まりです。
f(x) = 2x なら、どんな実数でも 2 倍にできるので定義域はすべての実数で、出力としてもどんな実数にも到達できるので値域もまたすべての実数になります。
しかし多くの関数には制約があり、その制約は決して恣意的なものではありません。それは、うまくいかなくなる演算から生まれます。
- f(x) = 1/x は 0 を受け取れません。0 で割ることは定義されていないからです。その定義域は、0 を除くすべての実数です。
- f(x) = ルート x は(実数の範囲では)負の数を受け取れないので、その定義域は x ≥ 0 です。
定義域を求めるとは、つまるところ「どんな入力ならこの機械が詰まるのか」を問うことです。それらを除けば、答えが出ています。
グラフは機械の絵である
グラフとは、機械が作り出す入力と出力の組すべてを視覚的に記録したものにすぎません。横軸が入力を、縦軸が出力を担い、各点 (x, y) は「x を放り込めば y が出る」と語っています。
これによって、そもそもそれが関数かどうかを手早く見分ける視覚的なテストが得られます。各入力はちょうどひとつの出力を生まなければならないので、ひとつの入力が 2 つの異なる出力の値の上に乗ることはできません。したがって、
縦線テスト: どこかの縦線がグラフと 2 回以上交わるなら、それは関数ではありません。
直線は合格です。放物線も合格です。円は不合格です。ほとんどの縦線が円と 2 回交わり、ひとつの x の値が 2 つの y の値に対応してしまうからです。機械はどちらの出力を出せばよいか分からなくなるので、円は関数ではないのです。
よく出る関数の小さな動物園
関数を機械として見られるようになると、名前のついた族は暗記すべきリストであることをやめ、それぞれの個性をもった登場人物になっていきます。
- 一次関数(f(x) = mx + b):一定の割合で変化します。グラフは直線です。一定の速さで進む距離のように、着実に増えていくものの裏側にあるのがこの関数です。
- 二次関数(f(x) = ax² + bx + c):上がって、向きを変え、下がります(あるいはその逆)。グラフは放物線で、投げたボールが描く軌道の形です。
- 指数関数(f(x) = aˣ):一歩ごとに同じ倍率を掛けるので、驚くほど速く増えます。複利や人口増加の原動力がこれです。(指数についての記事を参照。)
- 対数関数:指数関数の逆で、最初は速く増えてやがてのろのろと進みます。(対数についての記事を参照。)
これらを見分けるのに公式を暗記する必要はありません。それぞれがどんな形を描き、どんな種類の変化を表すのかを知っていればよいのです。
機械を組み合わせる、機械を逆向きに回す
2 つの考え方が、関数を孤立した規則から道具箱へと変えてくれます。
合成とは、ある機械の出力をもう一方の機械に入れることです。g が数を 2 倍にし、f が 1 を足すなら、f(g(3)) は 3 を 2 倍して 6 にし、それから 1 を足して 7 にするという意味です。機械を数珠つなぎにするわけです。これは微積分でひっきりなしに登場します。連鎖律は、まさに合成した関数を微分するための規則なのです。
逆関数とは、機械を逆向きに回すことです。f が 2 倍にするなら、その逆関数は半分にします。f が 10 を足すなら、その逆関数は 10 を引きます。逆関数は、もとの関数がしたことを取り消し、出力をそれを生んだ入力へと戻します。ただし、すべての関数に逆関数があるわけではありません。各出力がただひとつの入力から来た関数だけが逆関数を持ちます(そうでなければ、逆向きに回したときにどれが正解か曖昧になってしまうからです)。
なぜ関数がすべての裏側にあるのか
ここからが本題の見返りです。数学の発展的な話題のほとんどすべては、実は関数についての問いなのです。
- 極限は、入力がある値に近づくとき、関数の出力がどの値に近づくのかを問います。
- 導関数は、入力が変化するとき、関数の出力がどれくらい速く変化するのかを測ります。
- 積分は、入力の範囲にわたって関数の出力を足し上げます。
関数がぐらついていれば、微積分は丸ごと霧の中の出来事に感じられます。関数がしっかりしていれば、微積分は機械について問える自然な問いの集まりになります。それはどこへ向かうのか、どれくらい速く変化するのか、どれだけ積み重なるのか、というように。
これが学びにとってなぜ大切か
Math Zen で関数を練習するとき、あなたは f(x) を評価しグラフを読むところから、定義域と値域、合成、逆関数へと積み上がっていく問題に取り組みます。難易度は、いまのあなたの実際の位置に合わせて調整されます。
機械のイメージをつかむことが役立つのは、こういう理由からです。
- f(a + 1) の評価は、かっこを入力口として見られるようになれば、もう怖くなくなります。
- 定義域の問いは、暗記すべき規則ではなく「この機械を詰まらせるのは何か」という問いになります。
- 同じ直感は、これらの考えを新鮮に保つために使う間隔反復へ、そしてその先に続くあらゆる微積分の話題へと、そのまま受け継がれていきます。
まとめ
関数とは、信頼できる機械です。ひとつの入力、ひとつの出力、いつでも変わらず。f(x) という記法はラベルのついた入力口にすぎず、定義域は機械が受け取るもの、値域は機械が作り出すもの、そしてグラフはその入力と出力の組すべての絵です。
次に f(x) を見たら、「怖い代数」だと思わないでください。「この機械は、放り込んだものを何に変えるのだろう」と考えてみましょう。そのひとつの切り替えが、関数を、そしてその上に築かれたすべてを、ずっと直感的なものにしてくれます。
よくある質問
- 関数とは、平たく言うとなんですか?
- 関数とは、ある入力を受け取って、ちょうどひとつの出力を返す規則のことです。同じ入力を入れれば、いつでも同じ出力が返ってきます。自動販売機は関数です。B4 を押せば、いつでも同じお菓子が出てきます。「関数」という言葉は、この信頼できる入力から出力への対応関係に名前をつけたものにすぎません。
- 定義域と値域のちがいは?
- 定義域は、その関数が受け取ってよい入力すべての集まりで、値域は実際に作り出せる出力すべての集まりです。f(x) = ルート x なら、負の数の平方根はとれないので定義域は 0 以上のすべての数で、値域もまた 0 以上のすべての数になります。
- f(x) は実際にはなにを意味しているのですか?
- 「入力が x のときの関数 f の出力」を意味します。f は規則の名前で、かっこの中にあるものが入力です。f(2) は、入力 2 にその規則を適用するという意味です。この記法は掛け算ではありません。f(x) は f かける x という意味ではありません。
- グラフが関数かどうかはどう見分けますか?
- 縦線テストを使います。どこかの縦線がグラフと 2 回以上交わるなら、そのグラフは関数ではありません。ひとつの入力に対して 2 つの異なる出力ができてしまうからです。円はこのテストに不合格で、直線は合格します。
- 関数と方程式のちがいは?
- 方程式は 2 つのものが等しいと述べるもので、特定の値のときだけ成り立つこともあります。関数は、定義域の中のすべての入力にひとつの出力を割り当てる規則です。y = 2x + 1 のように方程式を使って関数を書くことはできますが、関数とは各 x をその y に変える機械そのものであって、等しいという主張そのものではありません。


