数学の概念

二項分布の例題:ちょうど・少なくとも・多くてもを計算

2026年10月11日2分で読めます
二項分布の例題:ちょうど・少なくとも・多くてもを計算

硬貨を5回投げ、表がちょうど3回出る確率を求めるとします。たとえば表・表・裏・表・裏という特定の並びの確率なら、すぐ計算できます。しかし、これは表が3回出る並びの一つにすぎません。二項分布の計算では、一つの並びの確率を求めることと、条件を満たす並びをすべて数えることの両方が必要です。

以下の二項分布の例題では、成功がちょうど指定回数、少なくとも1回、多くても2回となる確率を求めます。公式を使う前に、状況が本当にそのモデルに合うか確かめましょう。確率の用語から復習したい方は、確率の基礎を先にご覧ください。

二項分布の四つの条件を確かめる

二項モデルは、繰り返す試行で成功した回数を数えます。OpenStaxの二項分布の章が扱うモデルは、次の四項目で確認できます。

  1. 試行回数が固定されている。 結果を見る前にnnを決めます。
  2. 各試行の結果が二つに分かれる。 問題に合わせて結果を成功か失敗に分類します。
  3. 試行が独立している。 一つの結果を知っても、別の試行の確率は変わりません。
  4. 成功確率が一定である。 どの試行にも同じppを使います。

四つとも成り立つなら、成功回数をXXとします。XXは0からnnまでの整数のいずれかです。成功という言葉は好ましい結果を意味しません。不良品の個数を数えるなら、数えたい事象である不良品を数学上の成功と呼べます。

互いに独立した5問を考え、各問に正解する確率をp=0.4p=0.4とします。問題数は5で固定し、正解を成功と呼び、独立性と毎回0.4の確率を仮定します。これは二項モデルに合う設定です。

確率の公式を組み立てる

nn回の試行でちょうどkk回成功する場合、まず結果の並びを一つ取り出します。成功確率がppなら失敗確率は1−p1-pです。独立性により、成功がkk回、失敗がn−kn-k回ある一つの並びの確率はpk(1−p)n−kp^k(1-p)^{n-k}です。

次に並びの数を求めます。nn個の試行位置から成功するkk個を選ぶ方法は(nk)\binom{n}{k}通りです。それぞれの確率が同じなので、

P(X=k)=(nk)pk(1−p)n−k,(nk)=n!k!(n−k)!.P(X=k)=\binom{n}{k}p^k(1-p)^{n-k},\qquad \binom{n}{k}=\frac{n!}{k!(n-k)!}.

たとえば5回中3回成功する位置の選び方は(53)=10\binom{5}{3}=10通りです。全部書き並べる必要はありません。この数え方に慣れていない場合は、順列と組合せの解説で、ここが並べ替えではなく位置の選択である理由を確認できます。

規模をざっと確かめるなら、このモデルの平均成功回数はnpnp、分散はnp(1−p)np(1-p)です。OpenStaxもこの二つを示しています。これらは分布全体の要約であり、特定の回数の確率を代わりに与えるものではありません。分散と標準偏差の違いはこちらの解説をご覧ください。

例題1:ちょうど3回成功

先ほどの、互いに独立した5問に戻ります。各問の正解確率はp=0.4p=0.4です。ちょうど3問正解する確率を求めましょう。試行回数はn=5n=5、指定された成功回数はk=3k=3です。電卓を使う前に値を代入します。

P(X=3)=(53)(0.4)3(0.6)2=10(0.064)(0.36)=0.2304.\begin{aligned} P(X=3)&=\binom{5}{3}(0.4)^3(0.6)^2\\ &=10(0.064)(0.36)\\ &=0.2304. \end{aligned}

したがって確率は23.04%23.04\%です。係数1010は、3問の正解がどの位置にあるかを数えています。これを省いた0.023040.02304は、たとえば正解・正解・不正解・正解・不正解という一つの特定の並びの確率にすぎません。ちょうどの回数を求める際、この数え上げを忘れるのがよくある誤りです。

指数からも設定を確認できます。成功3回と失敗2回を足すと試行は5回です。指数の和がnnでなければ、計算前に立ち止まってください。次の計算でも正確な小数0.23040.2304を保ち、答えを示すときにだけ丸めるとよいでしょう。

例題2:少なくとも1回成功

互いに独立した4回の試行があり、それぞれの成功確率が0.30.3だとします。少なくとも1回成功する確率を求めます。これには成功が1、2、3、4回のすべてが含まれます。四つの二項確率を足してもよいですが、補集合なら短く済みます。補集合は成功0回です。

P(X≥1)=1−P(X=0)=1−(40)(0.3)0(0.7)4=1−0.2401=0.7599.\begin{aligned} P(X\geq1)&=1-P(X=0)\\ &=1-\binom{4}{0}(0.3)^0(0.7)^4\\ &=1-0.2401=0.7599. \end{aligned}

答えは75.99%75.99\%です。補集合を選ぶ前に言葉で確かめましょう。「少なくとも1回」が成立しないのは、一度も成功しない場合だけです。一方、「少なくとも2回」の補集合には0回と1回が含まれます。そこでP(X=0)P(X=0)だけを引くと誤答になります。

P(X=0)=(1−p)nP(X=0)=(1-p)^nである点にも注目してください。成功0回の並びは一つだけなので、組合せの係数は1です。この簡略化は、各試行が独立し、成功確率も共通だから成り立ちます。

例題3:多くても2回成功

今度は互いに独立した6回の試行を考え、毎回の成功確率をp=0.25p=0.25とします。「多くても2回」は0回、1回、2回のことです。この互いに重ならない三つの確率をちょうど足します。

P(X≤2)=P(X=0)+P(X=1)+P(X=2)=(60)(0.25)0(0.75)6+(61)(0.25)1(0.75)5+(62)(0.25)2(0.75)4=0.177978515625+0.35595703125+0.296630859375=0.83056640625≈0.8306.\begin{aligned} P(X\leq2)&=P(X=0)+P(X=1)+P(X=2)\\ &=\binom{6}{0}(0.25)^0(0.75)^6 +\binom{6}{1}(0.25)^1(0.75)^5 +\binom{6}{2}(0.25)^2(0.75)^4\\ &=0.177978515625+0.35595703125+0.296630859375\\ &=0.83056640625\approx0.8306. \end{aligned}

約83.06%83.06\%です。直接足す場合は3項で済みます。補集合1−P(X≥3)1-P(X\geq3)では4項が必要なので、ここでは手間が増えます。境界の値が大きい問題では、両側の項数を比較し、短い側を計算しましょう。電卓の二項累積確率の機能も使えますが、不等号は自分で正しく設定する必要があります。P(X≤2)P(X\leq2)には2回が含まれ、P(X<2)P(X<2)には含まれません。

途中の小数を早く丸めると、和の最後の桁が数単位ずれることがあります。加算中は精度を保ち、最終的な確率だけを指定の精度に丸めます。答えは0以上1以下になるはずです。

二項モデルにならない例

標準的なトランプの山札から、カードを戻さずに3枚引いてエースの数を数えます。引く回数は固定で、各回の結果もエースかエース以外かに分けられます。しかし、最初の1枚を引くと山札の中身が変わります。エースを引いたなら次にエースを引く確率は3/513/51、引かなかったなら4/514/51です。成功確率は一定でなく、抽出も独立ではありません。したがって、n=3n=3、p=4/52p=4/52の二項公式は厳密なモデルになりません。

毎回カードを戻してよく混ぜてから次を引けば、この単純化した例では成功確率の一定性と独立性が回復します。この違いは公式を暗記すること以上に大切です。まず何を母集団から取り出すのか、一回の試行が次を変えるのかを判断しましょう。

三問解いてから答えを確認

1. ちょうど2回。 あるゲームで、互いに独立した5ラウンドを行い、各回の勝率を0.20.2とします。ちょうど2回勝つ確率は?

解答: n=5n=5、k=2k=2、p=0.2p=0.2です。2勝の位置の選び方は(52)=10\binom{5}{2}=10通り。したがって、

P(X=2)=10(0.2)2(0.8)3=10(0.04)(0.512)=0.2048.P(X=2)=10(0.2)^2(0.8)^3=10(0.04)(0.512)=0.2048.

確率は20.48%20.48\%です。一つの並びだけを数えると0.020480.02048になり、正しい値の10分の1です。

2. 少なくとも2回。 互いに独立した4回の試行で、それぞれの成功確率が0.50.5です。少なくとも2回成功する確率は?

解答: 「少なくとも2回」は0回と1回を除きます。p=0.5p=0.5なら補集合を簡単に計算できます。

P(X≥2)=1−P(X=0)−P(X=1)=1−(40)(0.5)4−(41)(0.5)4=1−116−416=1116=0.6875.\begin{aligned} P(X\geq2)&=1-P(X=0)-P(X=1)\\ &=1-\binom{4}{0}(0.5)^4-\binom{4}{1}(0.5)^4\\ &=1-\frac{1}{16}-\frac{4}{16}=\frac{11}{16}=0.6875. \end{aligned}

答えは68.75%68.75\%です。0回だけを引くと「少なくとも1回」に答えたことになります。

3. 多くても1回。 互いに独立した3回の検査で、毎回陽性になる確率が0.10.1だとします。陽性が多くても1回となる確率は?

解答: 0回と1回を含めて足します。

P(X≤1)=(30)(0.1)0(0.9)3+(31)(0.1)1(0.9)2=0.729+0.243=0.972.\begin{aligned} P(X\leq1)&=\binom{3}{0}(0.1)^0(0.9)^3 +\binom{3}{1}(0.1)^1(0.9)^2\\ &=0.729+0.243=0.972. \end{aligned}

答えは97.2%97.2\%です。

確率の基礎をさらに練習するなら、Math Zenの確率の練習問題をご利用ください。どの問題でも、最初に四条件を確かめることが大切です。

よくある質問

二項分布の確率で n と k は何を表しますか?
n は固定された実験の試行回数全体、k は計算する事象の成功回数です。「5回中ちょうど3回」なら n は 5、k は 3 です。
どちらの結果でも成功と呼べますか?
はい。数えたい事象を選び、その確率を p にします。表ではなく裏を成功と呼ぶよう変えると、p の数値が変わることがあり、「ちょうど k 回」も別の回数を指すようになります。代入前に成功の意味を明記してください。
二項分布の累積確率とは何ですか?
複数の成功回数をまとめた確率です。「多くても k 回」は P(X ≤ k) で、k も含みます。「少なくとも k 回」は P(X ≥ k) で、こちらも k を含みます。正確な回数の確率 P(X = k) は一つの回数だけを扱います。
二項分布の計算はいつ丸めればよいですか?
べき乗、組合せ、和の計算中は精度を保ち、最後に一度だけ丸めます。百分率が求められるなら、計算後の小数の確率に100を掛けてください。

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