∫2xcos(x2)dx を考えてみましょう。このような積をそのまま積分できる基本公式はありませんが、答えは短く sin(x2)+C です。sin(x2) を連鎖律で微分すると cos(x2)⋅2x となり、被積分関数に戻ります。置換積分は、こうした答えを意図的に見つける方法です。連鎖律を逆向きに使います。内側の関数を見つけて u と名付け、その導関数に残りの因数を吸収させるのです。
この記事では置換積分の例題を6つ解きます。単純な場合から、定数倍のずれ、対数、積分区間を変える定積分、そして x を新しい変数で表し直す必要がある置換まで扱います。連鎖律そのものにまだ不安があるなら、先に連鎖律の例題で準備しておきましょう。以下の検算はすべて連鎖律に頼っています。
公式を一行で
OpenStax Calculus 第1巻 §5.5 は、不定積分の置換を次のように述べています。u=g(x) とし、F が f の原始関数であるとき、
∫f(g(x))g′(x)dx=F(g(x))+C.
実際には u=g(x)、du=g′(x)dx と書き、積分全体を u で書き直して積分し、元の変数に戻します。よい選び方かどうかの判定は簡単です。書き直したあとに x が1つも残ってはいけません。残った場合は、それを u で表すか、別の u を選びます。
uの選び方
ほかの関数の中に入っている関数を探します。累乗の中、根号の中、指数の中、三角関数や対数関数の中などです。次に、その導関数が(定数倍を除いて)残りの部分に掛かっているかを確認します。
| 被積分関数 | 内側の関数 | その導関数 | あるか |
|---|
| 2x(x2+1)5 | x2+1 | 2x | ある |
| xex2 | x2 | 2x | 係数2を除いてある |
| xlnx | lnx | x1 | ある |
| ex2 | x2 | 2x | ない、置換積分は使えない |
最後の行が大切です。∫ex2dx は2行目と似ていますが、因数 x がないので du が吸収するものがなく、この積分には初等関数で表せる原始関数そのものがありません。置換積分はいつでも使える技ではなく、導関数がそろっているときに使える方法です。
例題1:導関数がすでにある場合
∫2x(x2+1)5dx を求めます。u=x2+1 と置くと du=2xdx です。因数 2xdx はちょうど du です。
∫2x(x2+1)5dx=∫u5du=6u6+C=6(x2+1)6+C.
検算:6(x2+1)6 の導関数は (x2+1)5⋅2x です。(x2+1)5 を展開して項ごとに積分しても答えは出ますが、ずっと時間がかかり、計算ミスも起きやすくなります。
例題2:定数倍が足りない場合
∫xex2dx を求めます。u=x2 と置くと du=2xdx ですが、被積分関数には xdx しかありません。2で割って xdx=21du とします。
∫xex2dx=21∫eudu=21ex2+C.
21 を積分の外に出せるのは、それが定数だからです。足りないのが変数の因数なら同じことはできません。∫ex2dx は dx=2xdu と書いても救えません。x が u の積分の中に残ってしまうからです。
例題3:内側の関数が対数の場合
∫xlnxdx を求めます。ただし x>0 とします。u=lnx と置くと du=x1dx です。
∫xlnxdx=∫udu=2u2+C=2(lnx)2+C.
関連する定番の結果が ∫tanxdx=∫cosxsinxdx から得られます。u=cosx と置くと du=−sinxdx で、積分は −∫udu=−ln∣cosx∣+C になります。マイナス符号に注意してください。これはコサインの導関数から来るもので、この例題で最もよくあるミスはこの符号の書き落としです。
例題4:積分区間を変える定積分
∫01x(1+x2)3dx を計算します。u=1+x2 と置くと du=2xdx、したがって xdx=21du です。次に積分区間を変換します。x=0 のとき u=1、x=1 のとき u=2 です。
∫01x(1+x2)3dx=21∫12u3du=21[4u4]12=21⋅416−1=815.
区間を u で表したら、元の変数に戻す必要はありません。OpenStaxも定積分の置換をこの形で示しています。積分区間は g(a) と g(b) に変わります。典型的なミスは、新しい被積分関数に古い区間0と1をそのまま使うことで、ここでは 81 となり、正しい答えの15分の1になってしまいます。
見積もりで確かめましょう。被積分関数は x=0 で0、x=1 で8まで増えるので、面積は0と8の間、それも小さめの値になるはずです。曲線が急になるのは右端の近くだけだからです。815=1.875 はこれに合っています。
例題5:残ったxを表し直す
∫xx+1dx を求めます。u=x+1 と置くと du=dx です。根号の外に x が1つ残ります。置換の式からこれを表します:x=u−1。
∫xx+1dx=∫(u−1)u1/2du=∫(u3/2−u1/2)du=52(x+1)5/2−32(x+1)3/2+C.
このように戻せるのは、u=x+1 が簡単に逆に解けるからです。残った x を u できれいに表せないときは、たいてい置き方が間違っています。
例題6:置換積分が向いていない場合
∫xexdx を試してみます。すぐ思いつく u=x では何も変わらず、u=ex では x=lnu が中に残って ∫lnudu という問題になり、結局別の方法が必要です。この積には、導関数と並んだ内側の関数がありません。これは部分積分の出番で、一方の因数が微分によって簡単になります。
役に立つ習慣:u の候補を1つか2つ試すのに使う時間は1分までにしましょう。どれでも x が消えなければ、無理に押し通さず方法を切り替えます。
避けたいミス
- duを忘れる。 u=x2 と置いて内側の関数だけを置き換えると、dx が u についての積分の中に残ります。すべての dx を du の定数倍に直す必要があります。
- 変数で割る。 積分の外に出せるのは定数の因数だけです。
- 新しい積分に古い区間を使う。 両端の区間を変換するか、値を代入する前に x に戻します。
- 答えをuのままにする。 不定積分では元の変数に戻し、答えを x の関数にして +C を付けます。
- 検算を飛ばす。 答えの微分は数秒で済み、符号や定数のミスのほとんどを見つけられます。
練習問題と答え
- ∫3x2(x3−4)4dx。u=x3−4 と置く。答え:5(x3−4)5+C。
- ∫sin2xcosxdx。u=sinx と置く。答え:3sin3x+C。
- ∫e3xdx。u=3x と置くと dx=31du。答え:3e3x+C。
- ∫1exlnxdx。u=lnx と置き、区間は0から1。答え:21。
置換積分は、ほとんどどんな積分でも最初に試す方法です。だからこそ積分を直感的に理解するガイドでは、この章の主力と呼んでいます。内側の関数に名前を付け、その導関数がそろっているかを確かめ、積分区間も含めてすべてを変換し、次へ進む前に答えを微分しましょう。