(2x+3)5を微分してみましょう。括弧の中が単なるxであるかのように通常のべき乗の微分法則を使うと、5(2x+3)4になります。形は正しそうですが、因子の2が足りません。括弧の中の式はxの2倍の速さで変化するため、導関数にもその変化を反映する必要があります。
この因子を掛けるのが連鎖律の要点です。この記事では、内側が一つの例から三層に入れ子になった例まで、独自の問題を順に解きます。導関数そのものの意味を先に確認したい場合は、微分の解説をお読みください。ここでは層の見分け方、微分の進め方、答えの検算に集中します。
内側の関数と外側の関数を見分ける
合成関数では、一つの関数の出力を別の関数に入力します。y=(2x+3)5なら、まず2x+3を計算し、その結果を5乗します。内側をg(x)=2x+3、外側をf(u)=u5と書けば、y=f(g(x))です。
値を求める順序と微分する順序は逆です。値を求めるときは内側から外側へ進みます。微分するときは外側の操作から始め、その入力を変えずに残し、最後にその入力の導関数を掛けます。OpenStaxの連鎖律の章は、微分可能な合成関数について次のように示しています。
dxdf(g(x))=f′(g(x))g′(x)
外側の関数の導関数を評価する入力はg(x)であり、g′(x)ではありません。内側の導関数は別の因子です。該当する点でどちらかの層が微分可能でないなら、この式をそのまま適用することはできません。
法則を使う前に層の名前を付けてみましょう。sin(4x2−1)では外側が正弦、内側が4x2−1です。1+x4では外側が平方根、内側が1+x4です。x2+3xは式全体が和なので、各項を別々に微分します。括弧がある式すべてに連鎖律を使うわけではありません。
一つの関数の出力を別の関数に入れる考え方が初めてなら、合成関数の解説で微分前の値の求め方と定義域を確認できます。入出力の記法にまだ慣れていなければ、関数の基礎から始めてください。
毎回同じ四つの手順を使う
式が大きくなっても手順は変わりません。
- すぐ内側の式を置く。 h(x)=(3x2−2)4なら、u=3x2−2とします。
- uをそのままにして外側を微分する。 外側はu4なので、導関数は4u3です。
- 内側を微分する。 ここではdu/dx=6xです。
- 掛け合わせて元の式に戻す。 h′(x)=4(3x2−2)3(6x)=24x(3x2−2)3となります。
後の計算で必要でない限り、4乗を展開しないでください。因数分解された答えなら、4(3x2−2)3は外側のべき乗から、6xは内側の二次式から来たことが見えます。早く展開すると因子の掛け忘れに気付きにくくなります。
三層でも同じ操作を繰り返します。最も外側を微分し、次の層の導関数を掛け、さらに最も深い層の導関数を掛けます。OpenStaxも同じ章で連鎖律の反復適用を扱っています。新しい法則を覚える必要はありません。
最後まで解く三つの例題
一次式のべき乗。 p(x)=(2x+3)5に戻ります。外側の導関数は5(2x+3)4、内側の導関数は2です。したがって、
p′(x)=5(2x+3)4(2)=10(2x+3)4
記号だけの答えを信じず、x=0で確かめます。元の関数はp(0)=35=243です。(3+2x)5を一次の項まで展開すると243+5(34)(2x)+⋯=243+810x+⋯なので、ゼロでの傾きは810です。求めた導関数でも10(3)4=810となります。内側の因子を忘れた式では405となり、この検算に失敗します。
三角関数の合成。 角度をラジアンで測り、q(x)=sin(4x2−1)とします。外側の正弦を微分すると、元の入力の余弦になります。内側の4x2−1の導関数は8xです。
q′(x)=cos(4x2−1)(8x)=8xcos(4x2−1)
x=0では内側の導関数がゼロなので、q′(0)=0です。q(x)はx2に依存し、xと−xで同じ値を取るため、局所的な対称性の確認にもなります。x=1での傾きは8cos(3)であり、cos(8)ではありません。余弦に入るのは元の内側の式で、その導関数ではありません。
三層の入れ子。 r(x)=[sin(2x2+1)]3を考えます。外から順に、3乗、正弦、2x2+1の三層です。この順に微分すると、
r′(x)=3[sin(2x2+1)]2⋅cos(2x2+1)⋅4x=12xsin2(2x2+1)cos(2x2+1).
三つの変化がつながっているため、導関数にも三つの因子があります。3乗は3sin2(⋅)、正弦は余弦、二次式は4xを与えます。ここでもr′(0)=0で、r(x)が偶関数であることと一致します。この確認だけで導関数全体を証明できるわけではありませんが、代数的な誤りの一部を素早く見付けられます。
別の微分法則も必要か判断する
まず式全体の操作を見ます。a(x)=x(2x+3)5では、変数を含む二つの式を掛けています。最初に積の法則を使い、べき乗になった因子に連鎖律を使います。
a′(x)=1⋅(2x+3)5+x⋅5(2x+3)4⋅2=(2x+3)5+10x(2x+3)4=(2x+3)4(12x+3).
一方、b(x)=(2x+3)5には式全体を構成する積がないため、連鎖律だけで10(2x+3)4となります。二つの式の違いは、べき乗の外側に因子xがあることです。この因子によって最初に使う法則が変わります。
商の形でも判断が必要です。c(x)=1/(2x+3)2を(2x+3)−2と書き直すと、式全体の操作がべき乗だと分かります。したがって、
c′(x)=−2(2x+3)−3(2)=−(2x+3)34,x=−23.
商の法則でも解けますが、この書き換えなら合成関数の構造が明確です。分子と分母の両方がxに依存するなら、まず商の法則を使い、それぞれの部分で連鎖律が必要か調べます。OpenStaxの連鎖律の章も、こうした法則の組み合わせを扱っています。
よくある三つの誤答を直す
内側の因子の掛け忘れ。 (5x−1)4に対する4(5x−1)3という答えには、内側の導関数5がありません。掛ける前に二つの部分を書けば、4(5x−1)3×5=20(5x−1)3です。
外側の関数の入力を変えてしまう。 cos(x2+2)に対する−sin(2x)⋅2xは、内側の導関数を正弦の入力にしてしまっています。正しくは−sin(x2+2)⋅2xです。外側は元の内側の式を入力として微分し、その後で内側の導関数を掛けます。
括弧のまとまりを失う。 (x2+3)3に対する3x2+32(2x)は連鎖律になっていません。内側の式全体を二乗の括弧内に残します。3(x2+3)2(2x)=6x(x2+3)2です。最後の行まで内側を大きな括弧で囲みましょう。
簡単な値で元の関数と導関数を調べるのも有効です。一点での数値の一致だけではすべてのxに対して正しいとは証明できませんが、値が合わなければ誤答をすぐに否定できます。
解答付きの練習問題三つ
解答を見る前に自分で試してください。層を示し、各層に一つずつ因子を書きます。
1. s(x)=(7−3x)4を微分します。外側の導関数は4(7−3x)3、内側の導関数は−3なので、
s′(x)=4(7−3x)3(−3)=−12(7−3x)3.
負号は手早い確認になります。7−3xが正である点の近くでは、xが増えると内側の値が減り、その4乗も減ります。
2. t(x)=cos(3x2+x)を微分します。外側の余弦は負の正弦に、内側の多項式は6x+1になります。
t′(x)=−sin(3x2+x)(6x+1).
x=0ではsin(0)=0なので、導関数もゼロです。ただし内側の導関数がゼロなのではありません。そこでは1です。二つの因子を分けておくと、積がゼロになる理由が分かります。
3. v(x)=(1+sinx)3を微分します。外側のべき乗から3(1+sinx)2、内側の導関数からcosxが得られます。
v′(x)=3(1+sinx)2cosx.
内側に正弦がありますが、式全体の操作はあくまで3乗です。外から内へ進みましょう。x=0では導関数は3(1)2(1)=3です。
これらに慣れたら、Math Zenの微分の練習にある連鎖律のスキルに進めます。間違えた例に戻り、次の問題を解く前にどの因子を忘れたか説明してみてください。外側の操作を特定し、その入力を変えずに残し、入力の導関数を掛ける。この手順を定着させましょう。
よくある質問
連鎖律とべき乗の微分法則は同じですか?
いいえ。通常のべき乗の法則はxnを微分します。連鎖律を使えば内側の式のべき乗にも適用でき、[g(x)]nの導関数はn[g(x)]n−1g′(x)です。g(x)=xなら導関数は1なので、通常のべき乗の法則になります。
平方根にも連鎖律を使えますか?
はい。1+x4を(1+x4)1/2と書き直します。外側の導関数は21(1+x4)−1/2、内側の導関数は4x3なので、結果は2x3/1+x4です。
入れ子の関数で因子が複数になるのはなぜですか?
各層はその内側の層の変化に応じて変わるからです。[sin(2x2+1)]3では、xが変わると二次式が変わり、それが正弦を変え、さらに3乗した値も変えます。三つの導関数の因子は、連動した三つの変化を表します。