数学の概念

関連する変化率の例題:はしご、円錐、影を順に解く

2026年10月26日2分で読めます
関連する変化率の例題:はしご、円錐、影を順に解く

長さ10フィートのはしごが壁を滑り、足元が壁から遠ざかります。足元の速さとはしごの長さから、上端の速さを求めたいとします。図とピタゴラスの定理で式は作れますが、速さを出すには式を時間について微分しなければなりません。はしごの長さは一定でも、水平距離と高さはどちらも変化します。

三つの図形に共通する記録欄を使います。変数、動作中ずっと成り立つ関係式、既知の変化率と時点、求める変化率、符号と単位の検算です。これで早すぎる数値代入や、同じ図にある二つの速さの混同を防げます。方法は OpenStax Calculus 第1巻 §4.1 に沿い、数値例は独自です。微分の基本は導関数の解説を参照してください。

計算前に変化する量を定める

時間を tt とし、変わる長さを x(t)x(t)、y(t)y(t) のように書きます。正の向きも図に記します。xx が壁からの距離で、足元が 2 ft/s2\text{ ft/s} で遠ざかるなら dx/dt=+2 ft/sdx/dt=+2\text{ ft/s} です。高さが下がれば dy/dt<0dy/dt<0。問題が下がる「速さ」を聞く場合、正の大きさは ∣dy/dt∣|dy/dt| です。

動作中に成立する関係式を作り、長さを変数のまま tt で微分します。ここで連鎖律を使い、d[x(t)2]/dt=2x dx/dtd[x(t)^2]/dt=2x\,dx/dt です。その後に指定時点の寸法と既知の速度を代入します。符号と次元を確認しましょう。長さの導関数は長さ/時間、体積の導関数は体積/時間です。

記録欄確認すること
変数何が変わり、どちらが正の向きか
関係式どの式が関連する時点で常に成り立つか
その瞬間の値既知の長さと符号付き速度は何か
求める変化率どの導関数を解くか
検算向きと単位は自然か

コーネル大学の微積分演習資料も複数の図形に同じ考え方を用います。この表では、微分方程式だけでなく各量の意味を見えるようにします。

例1:滑るはしご

変数。 x(t)x(t) は足元から壁まで、y(t)y(t) は上端の高さで、単位はフィート。距離と高さが増える向きを正とします。硬いはしごは 10 ft10\text{ ft}。指定時点では x=6 ftx=6\text{ ft}、dx/dt=+2 ft/sdx/dt=+2\text{ ft/s}。求めるのは dy/dtdy/dt です。

関係式。 直角三角形から x2+y2=100x^2+y^2=100。x=6x=6 の瞬間の正の高さは y=100−36=8 fty=\sqrt{100-36}=8\text{ ft}。ただし微分前に関係式の xx を6で固定しないでください。その前後でも xx は変化しています。

微分して代入。 右辺は定数なので

2xdxdt+2ydydt=0,dydt=−xydxdt.2x\frac{dx}{dt}+2y\frac{dy}{dt}=0, \qquad \frac{dy}{dt}=-\frac{x}{y}\frac{dx}{dt}.

したがって dy/dt=−(6/8)(2)=−1.5 ft/sdy/dt=-(6/8)(2)=-1.5\text{ ft/s}。答えと検算。 上端の高さが下がるため、符号付きの鉛直速度は負です。下向きの速さの大きさは 1.5 ft/s1.5\text{ ft/s}。比 x/yx/y は無次元なので、単位は dx/dtdx/dt と同じです。ここで正の dy/dtdy/dt が出たら符号を確認します。

床に近づくほど yy が小さくなり、理想化した式の速度の大きさは増えます。これは水平速度を指定した硬いはしごの数学モデルの性質であり、現実のはしごが最後まで同じ動きを続けるという予測ではありません。答えは指定された一瞬についてです。

例2:円錐形の容器に注水

円錐の頂点が下を向いた容器の全高は 12 cm12\text{ cm}、上端半径は 4 cm4\text{ cm}。水が dV/dt=+6π cm3/sdV/dt=+6\pi\text{ cm}^3/\text{s} で入ります。水深 h=6 cmh=6\text{ cm} のとき、水面はどれほどの速さで上がるでしょうか。

変数。 水深 h(t)h(t) と水面半径 r(t)r(t) は両方変わり、体積 V(t)V(t) も変わります。関係式。 相似な三角形から r/h=4/12=1/3r/h=4/12=1/3、つまり r=h/3r=h/3。水の円錐の体積は V=(π/3)r2hV=(\pi/3)r^2h です。ここで変数間の関係を代入し V=(π/27)h3V=(\pi/27)h^3 とします。hh を一瞬の値で固定したわけではありません。

微分して代入。 連鎖律より

dVdt=π9h2dhdt.\frac{dV}{dt}=\frac{\pi}{9}h^2\frac{dh}{dt}.

h=6 cmh=6\text{ cm} を入れると 6π=(π/9)(36) dh/dt=4π dh/dt6\pi=(\pi/9)(36)\,dh/dt=4\pi\,dh/dt なので dh/dt=1.5 cm/sdh/dt=1.5\text{ cm/s}。検算。 正符号は水面の上昇と一致します。(π/9)h2(\pi/9)h^2 は面積の単位で、体積/時間をこれで割ると長さ/時間になります。このとき r=2 cmr=2\text{ cm}。容器の一定の半径4と、現在の水面半径2を混同すると誤答になります。

別解として V=(π/3)r2hV=(\pi/3)r^2h を dr/dtdr/dt と dh/dtdh/dt の両方を含めて微分し、dr/dt=(1/3)dh/dtdr/dt=(1/3)dh/dt を使っても同じ結果です。先に r=h/3r=h/3 とすれば変化する長さが一つになり、計算が短くなります。

例3:歩く人と影

ランプは平らな地面の上 6 m6\text{ m} にあります。身長 2 m2\text{ m} の人が、ランプから一直線に dx/dt=+1.5 m/sdx/dt=+1.5\text{ m/s} で離れます。人までの距離を x(t)x(t)、影の長さを s(t)s(t) とします。影の長さの変化率と、影の先端の速さを別々に求めます。

変数。 ランプから遠ざかる向きを正とし、影の先端はランプから x+sx+s の位置にあります。したがって ds/dtds/dt と d(x+s)/dtd(x+s)/dt は異なる速度です。関係式。 相似な三角形から、ランプの高さと先端までの距離、人の高さと影の長さを対応させると

6x+s=2s.\frac{6}{x+s}=\frac{2}{s}.

交差に掛けて 6s=2x+2s6s=2x+2s、よって s=x/2s=x/2。この式は理想化した直線上の配置で成立します。微分: ds/dt=(1/2)dx/dt=0.75 m/sds/dt=(1/2)dx/dt=0.75\text{ m/s}。これは影の長さが伸びる速度です。

先端と検算。 先端の位置は p=x+s=3x/2p=x+s=3x/2 なので、dp/dt=dx/dt+ds/dt=1.5+0.75=2.25 m/sdp/dt=dx/dt+ds/dt=1.5+0.75=2.25\text{ m/s}。先端は人より速く進み、影の長さの変化率だけが先端速度ではありません。両方正で、単位はメートル毎秒です。人が止まって dx/dt=0dx/dt=0 なら両方の導関数は0になるという極限的な確認もできます。

結果を使い、設定を検算する

三例とも、動作中に成立する式を使い、その後で一瞬の数値を入れました。ただし意味は異なります。はしごの高さは減り、円錐の水位は体積流量から増え、影には二つの正の速度があります。五項目の記録なら別々の三つの技巧を暗記せず比較できます。

練習として幾何学を変えず既知の速度だけ変えてみます。同じ x=6 ftx=6\text{ ft} で足元が 1 ft/s1\text{ ft/s} なら、上端の速度は半分の −0.75 ft/s-0.75\text{ ft/s}。同じ水深で流入量が倍なら dh/dtdh/dt も倍です。比例関係は計算ミスを見つけますが、幾何学的な関係式の導出に代わるものではありません。Math Zenでは必要な微分則を一問ずつ練習できます。AP Calculusの準備では関連する微分の応用も扱います。

最後に問題文が尋ねる対象を読み直します。足元、上端、水面、影の長さ、影の先端のどれでしょうか。最終的な導関数の横にその名を書いてください。別の量の速度を正しく計算しても答えにはなりません。選んだ正の向きと符号を照らし、単位を整理するだけでも、もっともらしい誤答を見つけられます。

よくある質問

なぜ長さの数値は微分後に代入するのですか?
その長さはある一瞬の値ですが、幾何学的な式は動作中ずっと変化する量を結びます。先に数値を入れると変数を定数扱いし、変化率を消してしまう場合があります。
負の変化率は何を意味しますか?
選んだ正の向きに対して、その量が減っていることを意味します。符号を変える前に問題文の向きを確認します。
関連する変化率の問題は陰関数微分と同じですか?
関係式を時間について陰関数微分し、その導関数を単位付きの幾何学的・物理的な変化率として解釈する応用です。

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